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起業すると発生する税金の種類は?

起業すると発生する税金は種類が多く、把握していくことが大変と言えます。自分で計算・申告を行わなくてはならない税金もあり、申請期限があるので、いつ、どの種類の税金を納めるのか知っておく必要があるのです。

個人事業主に課される所得税に対し、法人に課されるのが法人税であり、法人住民税や法人事業税等、似ている税金もあるので混同しないように理解しておくことが大切と言えます。

消費税は、基準期間における課税売上高に応じて納付する必要があるのかを決定するので、課税事業主に該当する要件を理解しておくことが重要です。

法人は従業員等から所得税の源泉徴収を行いますので、預かっている所得税を代わりに納付しなければなりません。法人で支払う税金の種類を把握し、年間の納付スケジュールを立てて、計画的に納付するのが大切なのです。

今回は、起業すると発生する税金の種類について解説していきます。

起業した際の税金は法人税だけではない

法人として起業した際に支払う税金として有名な税金が法人税です。法人税は個人事業主等における所得税にあたり、法人の1事業年度における所得に対して課税されます。原則として事業年度終了後翌日から2カ月以内に申告しなければなりません。

法人税の税率は、資本金1億円以下の普通法人等における所得の、年間800万円以下の部分は15%、年間800万円超の部分は23.20%です。所得税の累進課税制度と違い、年間所得800万円を基準として一定の税率で課税されます。

起業した場合の税金は、法人税に限らず様々な種類の税金を納付する必要があるのです。「賦課課税方式」により地方自治体等から納税通知書(納付書)が届く税金もありますが、「申告納税方式」と言って自分で計算・申告を行い納税する税金もあるので、申告期限を頭に入れておき、1年間の税金の納付スケジュールを把握しておくことが大切なのです。

法人税以外の税金の種類は

法人税以外にも所得に関係なく納税する必要がある、固定資産税・都市計画税・償却資産税・自動車税・軽自動車税等、様々な税金があります。

これに対して、所得に関連して納める必要がある税金も存在し、法人税以外にも納めなければならない税金を押さえておくことが重要です。

以下では、法人として起業したことにより納める税金(法人税以外)について解説していきます。

法人住民税

法人住民税は、その地域に事業所のある法人に課税され、「法人割」と「均等割」で構成される地方税です。

「法人割」は、法人税×標準税率により計算され、標準税率は令和元年9月30日前に開始する事業年度では、道府県民税3.2%・市町村民税9.7%、令和元年10月1日以降に開始する事業年度では、道府県民税1.0%・市町村民税6.0%と決められています。

「均等割」は、従業員数や資本金等により納付税額が決まるのです。

法人事業税

法人事業税とは、その地域において事業を行っている法人に課税される地方税で、「所得割」・「収入割」・「付加価値割」・「資本割」により構成されます。

資本金又は出資金の額1億円以下の場合には「所得割」のみであり、所得×法人事業税率で計算されるのです。これに対して資本金又は出資金の額1億円超の場合には、外形標準課税制度がとられ、「付加価値割」・「資本割」が税額に加わります。

消費税と源泉徴収税

消費税は、商品やサービスの消費に対して課税される国税です。前々事業年度における課税売上高が1,000万円を超える場合等に、課税事業者として消費税を納める必要があります。

消費税の税率は、国税7.8%・地方消費税2.2%で、軽減税率は、国税6.24%・地方消費税1.76%です。

基準期間における課税売上高が1,000万円以下でも、資本金や出資金が1,000万円以上であったり、特定期間(前事業年度開始6カ月間)における課税売上高1,000万円超、または給与等支払額の合計額が1,000万円を超えている場合には、課税事業者になります。

消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う、資産の譲渡・貸付・役務の提供です。基本的に受け取った消費税から支払った消費税を控除して納めるべき消費税額を算定します。

基準期間における課税売上高が5,000万円以下で、『簡易課税制度選択届出書』を提出していれば、簡易課税制度を利用出来ますので、みなし仕入れ率で簡易的に計算を行っていくことが可能です。

個人事業主の場合には、所得税を確定申告により1月1日~12月31日までにおける所得を把握し、所得の種類に応じて所得税を計算して納付します。

所得税と復興特別所得税を合わせて源泉徴収税と言い、法人の場合には源泉徴収税を預かり翌月10日までに納めなければなりません。『源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書』を提出していて、常時従業員が9人以下の場合には、納期の特例を利用することが出来るので、6か月分をまとめて納付することが可能です。

条件を満たせば消費税の課税を免除できる!?

「前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下」であれば、原則として免税事業者です。ただし、以下の要件に該当している場合には、免税事業者にはなりません。

・『消費税課税事業者選択届出書』を提出している
・前年の事業年度開始後6カ月間(特定期間)における課税売上高1,000万円超ないし給与等支払い額の合計額が1,000万円超
・事業年度開始の日における資本金額または出資の金額1,000万円以上
・特定新規設立法人

要件に該当しているかを把握して、免税事業者になるのかを事前に確認しておく必要があります。

まとめ

今回は、起業すると発生する税金の種類について解説してきましたがいかがだったでしょうか。

法人において、個人事業主の所得税に対応する税金は法人税です。法人税は、法人の1事業年度における所得に対して課税され、普通法人で資本金1億円以下の法人等において、年間800万円の部分は15%、超える部分は23.20%の税率が適用されます。原則として事業年度終了後翌日から2カ月以内に申告しなければなりません。

法人税の他にも、法人住民税・法人事業税・消費税・源泉徴収税等を納める必要があります。

法人住民税や法人事業税は、その地域において事業所があったり、事業を行っている場合に課税される地方税です。法人税同様、通常事業年度終了日の翌日から2カ月以内に申告・納税します。

源泉徴収税は、従業員等から預かっている所得税を、原則として翌月10日までに納付します。要件に該当している場合に『源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書』を提出していれば、6カ月分をまとめて納付する特例を利用可能です。

消費税は前々事業年度における課税売上高が1,000万円以上の場合に、課税事業者として納めなければいけません。

「前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下」であれば、原則として免税事業者です。ですが、『消費税課税事業者選択届出書』を提出している場合や、特定期間における課税売上高が1,000万円超の場合等、要件に該当すれば免税事業者にはなることは出来ないので、注意が必要です。

「申告納税方式」がとられている税金は、納付期限を把握して計算・申告しなければいけません。「賦課課税方式」による税金に関しても、いつ納税通知書(納付書)が届き、どのように納付していくのか、納税スケジュールを立てて計画的に納付することが大切と言えます。

今回ご紹介した内容が、起業すると発生する税金の種類に関する理解の一助となれば幸いです。

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