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支払った税金が返ってくる?”繰戻還付”について解説

所得税は個人事業主などの場合に確定申告する必要があり、知っている人も多いです。ですが法人税の場合、法人の納める税金というだけあって知っている方は少ないと言えます。所得税だけでなく、法人税においても”繰越控除”や”繰戻還付”が認められています。個人と法人で適用期間等の違いはありますが、意味としては同じです。

法人は、継続的に事業を行っていくという前提のもと成り立っています。”繰越控除”や”繰戻還付”は事業を継続的に行うにあたり、事業年度を跨いで控除したり還付されたりするので、とても有用な制度です。”繰戻還付”を行う場合には、納めた税金が返ってくることになるので、税務調査が入る可能性が高まります。

”繰越控除”と”繰戻還付”は自動的に適用されるものではなく、自主的に行う必要があるのです。その為には内容を把握して適用基準に該当しているのかを知り、活用していくことが大切と言えます。

今回は、支払った税金が返ってくる?”繰戻還付”について解説していきます。

法人税の”繰越控除”と”繰戻還付”

会計では収益が費用を超えていれば利益、費用が収益を超えていれば損失です。

税金では、事業年度の期間においての所得を計算して、益金が損金を超えていれば所得、損金が益金を超えていれば欠損金です。

会計は税務情報の利害関係者への提供を目的としているのに対して、税金は租税の公平性を目的としている点において異なります。

収益と益金、費用と損金の認識基準が異なるので、『税引前当期純利益』に調整を加えて、法人税の額を計算していきます。計算の結果生じる損金や益金が要件について青色申告している場合に、”繰越控除”や”繰戻還付”が認められるのです。

以下では、”繰越控除”や”繰戻還付”について解説していきます。

”繰越控除”とは

法人税における”繰越控除”とは、損金が益金を超えている場合に欠損金を次期以降に渡って10年間繰り越せるのです。欠損金が出ているということは事業が軌道に乗っておらず、税金に支払いを抑える効果があります。

活用せずに税金を納める場合、法人が事業を行っていくにあたって必要とする運転資金が少なくなり、大切な機会を失うことに繋がりかねませんので、積極的に活用していくことが大切と言えます。所得が発生した事業年度に過去の繰り越した欠損金と相殺することで、法人税の額を減らすことが可能なのです。

”繰戻還付”とは

法人税における”繰戻還付”とは、損金が益金を超えて欠損金が生じている場合に、過去の納めた所得税の額の還付を受けることを言います。

税務調査が入る可能性は高まりますが、”繰越控除”と同じように納めた税金が戻ってくることで運転資金が確保できます。制度を活用していくことは、事業の運営に直接かかわってくることなのです。

欠損金が生じた際には過去の所得税の還付を受けるのか、欠損金を繰り越すのかの判断をすることになるので、適切な判断が必要です。

”繰越控除”と”繰戻還付”の適用基準

”繰越控除”と”繰戻還付”は欠損金があれば誰でも適用できるわけではありません。基準に該当している法人が適用を許されているのです。

以下では、”繰越控除”と”繰戻還付”それぞれについて適用するべき基準を解説していきます。

”繰越控除”はどの場合に適用されるのか

原則として、欠損金額がある事業年度において、青色申告による『確定申告書』を提出しており、その後の事業年度においても継続して『確定申告書』を提出している法人です。

欠損金額が生じた事業年度に、青色申告による『確定申告書』を提出していれば、その後継続的に提出している『確定申告書』が白色であったとしても、”繰越控除”は認められます。

”繰戻還付”はどの場合に適用されるのか

中小企業者等で青色申告をしている法人と災害損失欠損金の生じた法人に適用できます。

中小企業者等とは、普通法人の内、資本金や出資金の額が1億円以下であるもの又は資本もしくは出資を有しないものです。

青色申告法人の場合は、還付を受けようとしている所得が生じた事業年度より、継続的に青色申告の『確定申告書』を提出しており、欠損金が生じた事業年度においても青色申告の『確定申告書』と『欠損金の繰戻しによる還付請求書』を提出する必要があります。

災害損失欠損金の生じた法人の場合には、還付を受けようとしている所得が生じた事業年度より継続的に青色申告の『確定申告書』を提出しており、欠損事業年度の『確定申告書』または『中間申告書』と『欠損金の繰戻しによる還付請求書』を提出する必要があります。

”繰越控除”と”繰戻還付”の金額

”繰越控除”と”繰戻還付”はそれぞれ計算方法があり、控除額が決められている場合もあるので、的確に把握しておくことが大切です。

以下では、”繰越控除”と”繰戻還付”の金額について解説していきます。

”繰越控除”の金額はどのように求めるのか

”繰越控除”できるのは、平成30年4月1日以後に開始した事業年度においては10年間における欠損金の額です。古い欠損金の額から順番に損金に算入します。

中小法人等は欠損金の全額を控除出来ますが、それ以外においては控除限度額が決められています。平成30年4月1日より開始する事業年度においては100分の50を乗じて計算する必要があるのです。

中小法人等には以下の種類があります。

・普通法人(投資法人、特定目的会社及び受託法人を除く)のうち、資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの(100%子法人等を除く)
・公益法人等
・協同組合等
・人格のない社団等

このように、中小法人等は控除限度額がないので、優遇されていると言えるのです。

”繰戻還付”の金額はどのように求めるのか

『還付請求書』に記載した金額を限度として、還付所得事業年度における法人税額に欠損事業年度の欠損金額を乗じて、還付所得事業年度の所得金額で除して計算します。

”繰越控除”と比較して”繰戻還付”は対象期間が短く、原則1年間で、災害損失欠損金は青色申告していれば2年間繰り戻し還付が可能です。

中小企業等においては、”繰越控除”と”繰戻還付”を活用していくことで、大切な資金を確保することが出来て、別の用途に運用していくことが出来るようになると言えます。

まとめ

今回は、支払った税金が返ってくる?”繰戻還付”について解説してきましたがいかがだったでしょうか?

法人税の計算は会計の計算とは異なり、収益ではなく益金、費用ではなく損金と言い、益金が損金を超えていれば所得、損金が益金を超えている場合に欠損金と言います。欠損金が出た時に”繰越控除”や”繰戻還付”を行うのです。

”繰越控除”は、欠損金が出た際に平成30年4月1日以後に開始した事業年度おいては10年間繰り越すことが出来ます。青色申告で『確定申告書』を提出している必要があり、注意が必要です。

”繰戻還付”は、中小企業者等で青色申告をしている法人と災害損失欠損金の生じた法人が適用できます。欠損金が出た際に過去に納付した税金の還付が受けられるのでとても有用な制度と言えます。

当事業年度に欠損金が生じた場合には、”繰越控除”と”繰戻還付”の選択が必要です。最善の選択を行うためにも内容を把握しておくことが大切と言えます。自主的に行わなければ適用を受けることができないので、積極的に活用していく必要があるのです。

法人は継続企業を前提に経営を行っているので、”繰越控除”と”繰戻還付”はとても重要です。有効に活用していくことで運転資金を確保することが可能となり、大切な機会を失わないようにしていくことが出来ます。

今回ご紹介した内容が、”繰戻還付”に関する理解の一助となれば幸いです。

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