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赤字経営は確定申告は不要?確定申告について解説

赤字経営の場合には、『確定申告する必要はない』と考えます。確かに赤字経営の場合には、確定申告を行う義務はありません。所得税は所得に対して課税する税金なので、赤字経営の場合には所得がなく、課税する対象がないと考えられるのです。

ですが、赤字経営の場合でも確定申告をすることで様々なメリットを享受することができます。逆に確定申告しないことによるデメリットが多くあるのです。デメリットを避けてメリットを享受していくためにも、赤字経営の際でも確定申告することが大切と言えます。

白色申告と青色申告では、赤字経営での確定申告によるメリットを享受できるパターンが異なるのです。また、赤字でも黒字でもない場合等に、確定申告するのかは迷いがちと言えます。赤字経営になった時のためにそれぞれのパターンについて、しっかり覚えておく必要があるのです。

今回は、赤字経営の際の確定申告は不要なのか、赤字経営における確定申告の内容について解説していきます。

赤字経営の場合は所得税の納税金額がなくなる?

確定申告は1月1日~12月31日までの所得について計算し、納付する所得税額を確定させるものです。赤字で経営を行っている場合には所得がないので、課税されません。

所得税は累進課税制度により課税所得に応じて税率が変わり、所得の多い方は税率が高く、多くの税金を納める必要があります。租税は公平性を重視しているので、赤字で所得がない場合には課税されないのです。

所得税が発生しない場合は確定申告をしなくても良い?

赤字経営により所得がなければ『所得税が発生しないので、確定しなくても良いのではないか』と考えます。ですが、所得税が発生しない場合にも確定申告はした方が良いです。

確定申告を行うことで、様々なメリットを享受することが可能になるとともに、デメリットを避けていくことが出来ます。

赤字経営でも確定申告をするメリットとデメリット

赤字経営でも確定申告を行うことが大切なのには、デメリットを上回るメリットが数多くあるためです。それぞれメリット・デメリットを知り、実際に利用していくことが重要と言えます。

純損失の繰越控除や繰戻還付は自動で行われるものではありません。自分で適切な手続きを行っていく必要がある為、内容を理解する必要があるのです。

以下では、メリット・デメリットをそれぞれ解説していきます。

メリット①

3年間の内なら、損失と利益を相殺することが可能です。当年度に損失が発生している場合には、損失を来年度以降に繰り越すことが出来て、来年度以降の利益と相殺できます。また、過年度に利益が出ていて当年度に損失が出た場合に前年の所得を限度として、還付を受けられることもあるのです。前者を繰越控除、後者を繰戻還付と言います。

メリット②

原則として住民税の確定申告を行わなければなりません。ですが、所得税の確定申告を行っている場合には、所得の情報が地方自治体にも伝わる仕組みになっているので、住民税の確定申告は必要がないと言えます。

事業を行っている場合には、忙しく出来る限り時間を要したくないのが通常です。住民税の確定申告を行わずして終わらせるためにも所得税の確定申告は大切と言えます。

メリット③

『課税証明書』や『非課税証明書』等の各種証明書を発行するには確定申告していなければなりません。各種証明書は所得が分からなければ発行できない為です。他にも補助金等を受け取る場合には、確定申告に基づき該当するかを判断するため、確定申告していなければ受け取ることが出来ません。

デメリット

赤字経営の際に確定申告を行うことによるデメリットは、手間を必要とすることです。事業を行っていると時間を効率的に使わなくてはなりません。確定申告は専門性が高く、多くの時間を要することもあるのが唯一のデメリットと言えます。

赤字経営で確定申告をするメリットは白色申告と青色申告でも異なる

赤字経営の場合に確定申告をするメリットは異なります。白色申告が限定的なのに対して青色申告は赤字経営の場合においては、確定申告を行った方が良いのです。

以下では、赤字経営の場合に確定申告をするメリットについて、白色申告と青色申告に分けて解説していきます。

白色申告は”変動所得”に損失があった場合

白色申告の場合には、基本的に赤字を繰り越すことは出来ません。ですが、印税や原稿料等の変動所得は所得の変動が激しいので、繰り越すことが出来ます。また、被災した場合の事業用資産等による損失も繰越可能です。

このように、白色申告の場合の損失の繰り越しができるパターンは、かなり限定的と言えます。

青色申告は”とにかく赤字経営”だった場合

青色申告の場合には、赤字経営なら繰越控除や繰戻還付等のメリットを享受できます。白色申告と比較すると認められる範囲が広く、赤字経営だった場合にはとにかく確定申告することが賢明です。

『確定申告書』を提出して、その後も継続的に提出すれば繰越控除ができます。繰戻還付は審査があるので、絶対受けられるわけではありませんが、確定申告をしていなければ請求が出来ないので、請求するためにも確定申告をしておく必要があるのです。『純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書』を作成し、『確定申告書』に添付して提出します。

赤字の確定申告は「損失申告」を

損失申告とは、損失が出た場合の確定申告です。確定申告では『損益通算』と言って、他の所得と通算することが可能で、特定の所得で損失が出た場合に、他の種類の所得の利益から控除することが出来ます。

他の所得と通算できる特定の所得による損失は以下の種類の所得です。

・不動産所得
・事業所得
・山林所得
・譲渡所得

特定の所得がある場合には、一定のルールに従い他の所得と通算します。通算した後の所得が損失の場合には、損失申告を行うのです。

赤字でも黒字でもない場合は確定申告をする必要があるのか

個人事業主で年末に開業した等の場合には、取引がないので赤字でも黒字でもない場合もあります。そのような時にも確定申告することで、各種証明書を等発行することが出来るので、確定申告しておくことが大切です。

個人で各種証明書等の発行を行った方が良いなどの理由がある場合には、適切に確定申告を行うことが大切と言えます。

まとめ

今回は、赤字経営の際の確定申告は不要なのか、赤字経営における確定申告の内容について解説してきましたがいかがだったでしょうか。

所得税は赤字経営の場合には、申告する義務はありません。ですが、損失の繰越控除、繰戻還付が出来たり、住民税の確定申告を行う必要がなくなったり、『課税証明書』や『非課税証明書』等の証明書を発行が可能なので、確定申告をするのが賢明です。

白色申告は原則として純損失の繰越控除は出来ませんが、変動所得による損失や被災した場合の事業用資産等による損失など限定した場面で繰越控除が適用できます。これに対して、青色申告はとにかく赤字の場合にはメリットを享受できるので、確定申告することが大切です。

確定申告では、不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得による損失は他の所得と損益通算することが可能です。損益通算した後の所得が損失の場合には、損失申告することが重要と言えます。

個人事業主で、年末に開業した等の場合には取引がないので、赤字でも黒字でもないです。赤字でも黒字でもない場合でも、確定申告を行うことで『非課税証明書』等の各種証明書を発行することが出来ます。

このように、赤字経営の場合には確定申告を行う義務がないので、見過ごされがちですが、様々なメリットがあるのでしっかり確定申告を行うことが大切と言えます。

今回ご紹介した内容が、赤字経営は確定申告は不要なのか、赤字経営における確定申告についての理解の一助となれば幸いです。

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