今月の言葉

今月の言葉(8月)第157回 「判断力」

今年の6月末から7月初旬にかけて発生した西日本豪雨により、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様、そのご家族の方々に対し心よりお見舞い申し上げます。一日も早い災害復旧復興が叶うよう願っています。

この豪雨で土砂崩れが頻発し、広範囲かつ重大な被害がもたらされましたが、この災害に遭った広島国際大学では、安田康晴教授(医療技術学科教授、元消防士)の指示によりけがをした学生が一人も出なかったと報じられました。
7月6日夜の豪雨によって土砂が大学の敷地内に流れ込み、近くの川からは水が氾濫するなどの危機的状況の下、安田教授は翌日早々に「二次災害が最もあってはならない。しばらくの辛抱です。援助隊が来るまで決して外に出ないでください」と教え子に一斉メールを送るとともに、ツイッターなどSNSで拡散することも併せて指示したそうです。これにより他の学生らにもこのメッセージが瞬時に伝わり、敷地内の学生寮に住む660人の学生をはじめとして、人的被害はゼロであったそうです。
まさに、リスク管理に長けた安田教授の「的確かつ瞬時な判断」をする力、言わば「判断力」があったからこその功績といっても過言ではないでしょう。そしてこの「判断力」は、災害のリスク回避といった重大な局面だけでなく、平時においても、結果を左右するほどの重要な要因であることは間違いありません。だからこそ、瞬時に重大な判断を下す必要があるときに備え、日常発生する様々な判断局面においてこの「判断力」を研いておく必要があるのです。

中国の古典の一つである菜根譚には次のような一節があります。
「風斜雨急処、要立得脚定。花濃柳艶処、要着得眼高。路危径険処、要回得頭早」
(横殴りの風雨がたたきつけるときは足を踏みしめ耐え忍ぶべし。たとえ色鮮やかな花が咲き乱れていても目を奪われることなく目標を見定めるべし。危険な道が行く手を遮るならば迷うことなく引き返すべし。)意訳するとこのような内容の文面ですが、これこそ「判断力」の要諦を述べていると思います。
つまり、「信念を持つこと」「見識を豊かにすること」「決断力を養うこと」の三要件を満たすことが、的確な判断を下せるようになるための第一歩であると説いているのです。

経営者や組織の役職者、指導者の立場にある人には特にこの「判断力」を高める努力が必要と思います。私も組織の役職者たる立場において「信念」「見識」「決断」を養うよう努力してまいります。現在の、そして将来の様々なリスクへの管理と対応を図り、明るい展望を共に築き上げていきましょう。

(文責 夘木信寿)

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