今月の言葉

今月の言葉(2021年10月)第195回 不易流行に人生を賭ける

最近、通勤車のタイヤを変えました。新しいタイヤは安全で乗りごこち満点です。タイヤといえば、誰もが知っている世界最大のタイヤメーカー、㈱ブリヂストンです。ブリヂストンの社名は、創業者である石橋正二郎の苗字からきており、ブリッヂ(橋)、ストン(石)に由来しています。このブリヂストンの前身は日本足袋で創業1922年(大正11年)地下足袋の製造から生まれた話は有名です。当時、ゴムを着けた地下足袋を開発したことは、消費者のニーズに合い、履物の歴史上で最大の革命と言われました。九州の三井炭鉱の労働者から大変に喜ばれ、大ヒットし日本中に広がったのです。

ブリヂストンの理念は “最高の品質で社会に貢献” そして四つの心構え “誠実協調、進取独創、現物現場、熟慮断行” という不変の価値観(不易)を原動力として、時代のニーズにあった商品開発(流行)を継続してきました。地下足袋を生産・販売するという本業の技術を活かし、運動靴の生産にも乗り出し、これも順調に軌道にのり、アメリカ・ヨーロッパ・アフリカ・インドと世界に販路拡大し、大変な盛況ぶりだったといわれています。さらに、市場・マーケット・消費者のニーズ(顕在ニーズ、潜在ニーズ)を探究し、いずれ日本にモータリゼーションの時代が来ると予測して、1931年(昭和6年)に車のタイヤ部門を独立させました。現在のブリヂストンの誕生であります。

昭和6年当時は世界大不況の波が押しよせ、企業環境は最悪だったと思われます。しかしブリヂストンは目の前の利益だけに走らず、将来の消費者のニーズ・ウォンツを先見し、車のタイヤ開発に乗り出しました。この頃の日本中の車の総数は7~8万台であり、まだトヨタ自動車が誕生する前なので、ブリヂストンの先見の明がうかがえます。いずれ日本国民がクルマを持ちたいという欲望を見抜いてのことです。地下足袋の底に貼ったゴム、運動靴の底ゴム、車のタイヤと消費者のニーズ・市場の将来性を見抜いたマーケティングと、製品開発のイノベーションの両輪が世界のブリヂストンを築きあげたといえるでしょう。

事業存続のポイントは “市場のニーズ・ウォンツを見抜くマーケティング” と “その市場にあった製品・サービスのイノベーション” にあるといっても過言ではありません。この時流に合ったマーケティングとイノベーション、そしてどんな時代にも変わらぬ不易の理念があるからこそ設立90年という存続企業であり、 世界一のタイヤメーカーになっているのだと思われます。

「不易」(いつになっても変えてはいけない考え)と「流行」(時代の変化・ニーズに合わせどんどん変えていくという考え)は、これからも企業経営存続の “黄金律” です。

我々の不易は何でしょうか。又3~5年先を見据えた顧客ニーズ・ウォンツは何でしょう?そしてその提供する商品・サービスとはいったい何でしょう。今こそ、全スタッフの衆知と結束が必要です。そしてそこに人生を賭ける魂がなによりも肝要であるのです。

(文責:高良 高)

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