今月の言葉

今月の言葉(2021 年 4 月)第189回「テレワークと経営改革」を考える

「テレワークと経営改革」を考える

働き方改革が叫ばれる中、新型コロナウイルスの感染拡大によって、テレワークが当たり前の
ようになりました。時代と共に変化に順応していかなければ生き残っていけませんが、このコロ
ナショックはバブル崩壊に次ぐ深刻さです。いつ収束するか分からない現在、どのように対処し
ていかなければならないか真価が問われることとなります。
人との接触に距離を置くテレワークスタイルと、これまでの人との直接接触による仕事スタイ
ルとのバランスが取れないものでしょうか?このどちらにも利点があり欠点があります。

テレワークに合う職業としては、その人自身でかなり仕事が完結できるもの、例えば、弁護士
や税理士、社会保険労務士、建築設計士や SE などの個人専門業、あるいはセールスマンなど個
人評価できるものです。反対に工場のラインスタッフや運転手などは自宅では仕事になりませ
ん。このようにテレワークといっても合う職業と合わない職業が当然あります。一番悩むのは、
人事や総務、経理と言った間接的・管理的な仕事です。作業は家でできても機密漏洩やコミュニ
ケーション不足、共同作業の困難さといったリスクが伴うのです。

テレワークの利点と欠点をまず把握したいと思います。
利点は、
① 通勤時間の節約で時間幅の増大と効率が図れる
② 自分の仕事に集中できる
③ 自己管理が自分のペースでできる
④ オフィスのコストダウンが図れる
⑤ 働き方の多様性を許容できる
⑥ オンライン会議で若手の発言が活発化しうる
⑦ 働かない社員や管理職の良し悪しのあぶり出しができる
など、効率性や生産性の向上をもたらすことが期待できます。

これに対して欠点や弊害は、
① 家庭と仕事の区別がつきにくく惰性に流れやすい
② 人と人とのコミュニケーションがとりにくい
③ 自分の仕事の進捗は図れるが組織全体の状況を見失う危険性がある
④ 情意効果などの人事評価が難しい
⑤ チームでの共同作業ができない
⑥ 組織の一体感が薄れる
⑦ インターネット環境のセキュリティリスクが大きくなる
など、組織の共存性や社会性が薄れる可能性が起きます。したがって利点は、仕事の効率が図ら
「勘定」が合いますが、欠点として共同作業ができにくくコミュニケーションによる「感情」
が合わなくなる可能性が高くなります。

このようにテレワークは、直接的な接触から遠ざかるため、心理的・情報的距離感が生まれや
すいと思われます。IT の高度化によって、この差はかなり埋められると思いますが、社員の心
の問題や情緒的な面が失われる危険性があります。メールでのやり取りやデジタル会議にして
も大変便利ではありますが、一方で、直接会えばすぐ相手の心をつかめることも、心情や情緒ま
でつかみにくいものです。
生産性(機能性)の向上と情緒面(人間性)の安定をどのようにバランスをとるか、企業経営
において大きな課題です。この両者のバランスをとっていくことが、会社の発展と社員の幸福を
得るための基盤強化になるものと思います。

(文責:高良 明)

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